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ドライブレコーダーが義務化?メリットとデメリットを解説

近年、ドライバーや歩行者の不注意などによる運転事故が多く発生しており、運転時の状況を客観的に記録できるドライブレコーダーの必要性が高まっています。
2017年からは高速バスの事故原因解明のため、貸切バスのドライブレコーダーの設置が義務づけられ、乗用車でもバックカメラの設置の義務化が進められています。

この記事では、ドライブレコーダーの必要性が高まる背景や、ドライブレコーダー義務化のメリットとデメリット、ドライブレコーダーの選び方と注意点について解説します。

 

高まるドライブレコーダーの必要性

現在、一般の乗用車へのドライブレコーダー設置は義務化されていませんが、2022年5月以降に発売される新車に関しては、後退時の事故防止のため、バックカメラ(後退時車両直後確認装置)の設置が義務化されました。
さらに2024年5月には、継続生産車(既存モデルの新車)に対してもバックカメラの設置が義務化される予定です。
また、貸切バス事業者に関しては、2016年に起きた軽井沢スキーバス事故を受け、再発防止策を検討する国土交通省の対策委員会が、映像の記録・保存の義務化を決定。現在全ての貸切バスにドライブレコーダーを設置することが義務づけられています。
こうした流れを受け、今後はタクシーやトラックなどの業界でもドライブレコーダーが義務化されることが想定されています。
個人利用の車でも、将来的にドライブレコーダーの装着が義務化される可能性があり、ドライブレコーダーの需要は今後もますます高まることが予想されます。

 

ドライブレコーダー義務化のメリットとは?

では、改めてドライブレコーダーの義務化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?「万が一のときに役立つもの」というイメージが強いドライブレコーダーですが、そのメリットはトラブル時に限りません。
まず、大きなメリットとして挙げられるのは、交通事故の際に確実な証拠を残せることです。

これまで、事故発生時には客観的な証拠が少なく、当事者の証言だけが手がかりということが通常でした。物的証拠から推測するしかなく、多くの事故は実態を掴むことがないまま処理されてきたのが現状です。
ドライブレコーダーの映像で事故の確実な証拠を残すことができれば、状況の把握、事故責任の過失割合の査定に役立ち、事故処理をスムーズに進めることができます。

また、ドライブレコーダーは、事故やあおり運転発生時の状況を映像で残すことができ、危険運転や走行妨害への抑止力となることも期待できます。
日常的な運転の際にも、危険な場面があった際にドライブレコーダーの映像を確認すれば、自分の運転を見直すことができ、運転技術や運転マナー、安全意識の向上につながります。
さらに、保険料の割引や事故処理の迅速化など、ドライブレコーダーの義務化には多くのメリットがあります。

 

ドライブレコーダー義務化のデメリットとは?

もちろん、ドライブレコーダーの義務化には利点ばかりではなくデメリットもあります。
まず、デメリットとして挙げられるのはプライバシーの侵害や個人情報漏洩のリスクがあることです。
ドライブレコーダーを設置すると、常時走行ルートや車内の映像・音声が記録されます。これらのデータを有効活用するケースも多い一方、自分の行動が筒抜けになることを不快に感じる場合もあるでしょう。
ドライブレコーダーには、SDカードへデータを保存する機種も多いですが、万が一SDカードを紛失してしまった場合、拾った第三者が中のデータを閲覧できてしまうため、個人情報漏洩の危険もあります。
悪用されてしまうことを避けるために、セキュリティ対策とドライブレコーダーに記録されたデータやSDカードの取り扱いについての慎重な配慮が必要です。

また、高額な購入費用や設置費用がかかることもデメリットの一つです。
ドライブレコーダーを設置するためには、ドライブレコーダー本体の価格に加え、設置費用が必要です。平均的な本体価格は20,000円~30,000円程度、設置費用は機種により異なりますが5,000円~15,000円程度が目安です。

合わせてSDカードの定期的なフォーマットや交換など、メンテナンス費用も必要となります。メンテナンスを怠り、事故や交通トラブルの際にドライブレコーダーが故障していた、という状況になると証拠映像を記録できない可能性もあります。

ドライブレコーダーの義務化に関しては、こうしたコストに対して、どのくらいの効果が得られるのかシミュレーションした上で、一定金額を税金で補助するなどの対策も考える必要がありそうです。

 

ドライブレコーダー義務化による社会的影響とは?

内閣府の中央交通安全対策会議で作成された、第11次交通安全基本計画(計画期間:令和3年度~令和7年度)では、事故防止や保護者保護の観点から、すべて車にドライブレコーダーが装着されるべき、というパブリックコメントが数多く寄せられました。
市場の入手性、信頼性などから、ドライブレコーダーの設置義務に踏み切ってもいい時期にきている、という意見もあります。
実際にドライブレコーダーが義務化されることになれば、多くの面で社会的な影響があるでしょう。
社会全体で交通事故が減少し、ドライバーの安全意識の向上が急速に進むと考えられます。

また、証拠映像が残ることで、交通事故やトラブルの際にも保険会社の処理がスムーズに進められ、警察の犯罪捜査でも防犯カメラのように犯人の追求に役立つことが期待されます。

▼参考
内閣府「第11次交通安全基本計画」
https://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku11

 

ドライブレコーダーの選び方と注意点

ドライブレコーダーの機種選びの際には、画質や録画時間、機能などを比較することが大切です。
また、操作が簡単で運転に支障をきたさないようなものを選び、設置場所や取り付け方法にも注意が必要です。
ドライブレコーダー選びの際にチェックしたいポイントをまとめました。

ドライブレコーダーの選び方のポイント

万が一の際にしっかりと役立ち、自身の車に最適なドライブレコーダーを選ぶためには、以下の3つのポイントに注意する必要があります。

ポイント1:記録画素数

ドライブレコーダー選びで重要なポイントの1つが、録画機能における画質です。その目安となるのが画素数で、映像の細かさを表す単位です。
事故被害にあった際、ドライブレコーダーの映像の鮮明さは、映像が証拠として採用されるかどうかを左右します。特に、事故相手の顔やナンバープレート、標識などが認識できるかどうかが重要となってきます。
また、夜間の撮影は対象物を鮮明に映しづらく、トンネル出口などで発生する逆光も映像を不鮮明にする原因となります。

こうした事態を防ぐためにも、夜間も高画質を維持できるドライブレコーダーを選ぶことが大切なポイントです。
夜間撮影時の画質も問題なく、確実な証拠を記録するために必要なのは200万画素以上。100万画素未満のドライブレコーダーも販売されていますが、フルハイビジョン以上で撮影できる、200万画素以上のモデルを選んでおくと確実です。

ポイント2:録画範囲

事故は真正面よりも、出会い頭や車線変更といった斜めや横からの衝突で多く発生します。
ドライブレコーダーの視野が狭いと決定的瞬間を撮影できずトラブルの解決に対応できないケースがあるため、より広いエリアを撮影できることものが推奨されます。
ドライブレコーダー選びの際には録画可能範囲にも注目しましょう。確認しておきたいのは、映像の横方向の広さを表す「水平角度」と、縦方向の広さを表す「垂直角度」です。
角度が大きい方が録画範囲が広くなりますが、広角になればなるほど高額になりますし、広すぎると映像に歪みが出てしまいます。
適度な価格で確実に録画できる基準としては、「水平角度108°」「垂直角度60°」以上。
正面だけでなく、側面の大部分を映像に捉えることができ、上下の映像も画角に収めることができます。

ポイント3:駐車監視機能

ドライブレコーダー選びには、駐車監視機能の有無もポイントとなります。
駐車中の車上荒らしや当て逃げ、イタズラなどの対策にはドライブレコーダーの駐車監視機能が効果的です。
駐車監視機能付きドライブレコーダーには、加速度センサーや動体検知センサーが搭載されており、センサーがドライブレコーダーに信号を送信し、撮影を促します。
これらの機能はエンジンをオフにしても機能し、駐車中の被害に遭う瞬間を録画して監視や事件の解決などに役立てられます。
駐車監視機能付きのドライブレコーダーの多くはオプション対応になっており、車両バッテリーへの配線や電源用バッテリーの導入などでさらにコストがかかります。駐車監視機能をつけたいと考える場合は、追加コストも予算に入れておきましょう。

ドライブレコーダーの取り付け位置に注意

ドライブレコーダー購入後も、注意しておきたいポイントがあります。それは、ドライブレコーダーの取り付け位置です。
通常、フロントガラスに取り付けるドライブレコーダーですが、道路運送車両法では「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」または「車室内後写鏡により遮へいされる前面ガラスの範囲」と定められています。
ルームミラーの裏やフロントガラスの最上部へ取り付けるなど、運転の視界を妨げることがないよう注意する必要があります。

また、リアカメラについては法律的な規定はありませんが、後方の視界を妨げすぎないことに注意し、より効率良く広範囲を撮影可能な位置に取り付けるようにしましょう。

 

まとめ

  • 2022年5月以降発売の新車に関して、バックカメラの設置が義務化され、ドライブレコーダーの義務化についても必要性が高まっている
  • ドライブレコーダー義務化には、事故の確実な証拠を残せる、危険運転の抑止力となる、安全運転意識を高められるなど多くのメリットが
  • プライバシーの侵害や個人情報漏洩のリスクなど、義務化にはデメリットもある
  • ドライブレコーダー選びの際には、画質や録画範囲、機能などを比較することが大切

(執筆者:酒井 恭子)

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