プロパンガス会社の車両管理を考える 第1回|安全運転対策の現場で見えてきた課題とは
2026/07/27
はじめに
プロパンガス会社は、地域の暮らしを支える重要なインフラ企業です。
家庭や商店へのLPガス供給だけでなく、ガス機器の販売・点検・保安業務など、
日々多くの車両が地域を走っています。
その一方で、住宅街や狭い道路を走行する機会が多く、
安全運転や車両管理は企業経営において非常に重要なテーマとなっています。

私どもでは20年以上にわたり、プロパンガス会社様やLPガス配送会社様と、
安全運転対策や車両管理システムの導入を通じてお付き合いをしてきました。
これまでに取引させていただいた企業は10社以上。
その中には、名古屋市に本社を置くLPガス配送大手企業様もあります。
この20年間で、LPガス会社の車両管理は大きく変化してきました。
以前は配送効率の向上が中心でしたが、
現在では事故防止や安全教育、ドライバー不足への対応など、
より幅広い課題に取り組む企業が増えています。
本記事では、実際に現場で見えてきたLPガス会社ならではの
車両管理の特徴と課題についてご紹介します。
私たちが見てきたLPガス会社の車両管理の変化
私どもがLPガス会社様とお付き合いを始めたのは2005年頃です。
当時、多くの会社が抱えていた課題は、安全運転というよりも
「配送をいかに効率よく行うか」ということでした。
配送ルートは担当ドライバーの経験に頼る部分が多く、
- 配送エリアの見直し
- 配送順序の最適化
- 配送時間の短縮
などが大きなテーマとなっていました。
そこでGPS機能を活用したデジタルタコグラフを導入し、
配送車がどこをどのように走っているのかを見える化する取り組みが始まりました。
その後、2008年頃には本格的なデジタルタコグラフの導入が進み、
さらに2015年頃からは安全運転支援システムを活用した運転指導へと取り組みが広がりました。
現在では、中部地方約20か所の事業所、200台以上の車両で
安全運転管理システムをご利用いただいています。
車両管理は「配送効率」から「安全運転」へ、
そして「企業全体のリスクマネジメント」へと進化してきたと感じています。
LPガス会社の車両は大きく2つの役割に分けられる
LPガス会社の車両は、大きく分けると「配送車両」と「サービス車両」の2種類があります。
配送車両
ガスボンベ配送車やバルクローリーなど、LPガスそのものを運搬する車両です。
仕事内容は運送業に近いものの、多くの会社は一般的な運送会社ではありません。
そのため、運送会社向けの安全管理手法がそのまま当てはまるとは限らず、
LPガス業界独自の運用が求められます。
サービス車両
ガス機器の販売、点検、修理、保安業務などを担当する車両です。
営業車に近い役割ですが、一日に何十件もの訪問を行うため、
一般企業の営業車よりも走行距離が長くなるケースが多く見られます。
現場で感じたLPガス会社ならではの5つの特徴
① 季節による仕事量の差が非常に大きい
LPガス会社では、冬と夏で業務量が大きく変わります。
冬は給湯器や暖房機器の利用が増えるためガスの消費量も増え、
配送回数や配送量が大幅に増加します。
一方、夏はガス需要が減少するため配送量も少なくなります。
この繁忙期と閑散期の差が大きく、
人員配置や車両運用を年間を通して計画する必要があります。
② 一日に100件を超える訪問も珍しくない
LPガス会社では、
- ガスボンベ交換
- ガス残量確認
- 保安点検
- ガスメーター確認
- ガス機器の点検・修理
など、多くの目的でお客様を訪問します。
熟練したドライバーでは、一日に100件を超える訪問を行うケースもあります。
効率よく回るために、自ら配送ルートや訪問順を工夫しているドライバーも少なくありません。
③ 販売会社と配送会社が分業されるケースが増えている
近年はLPガス販売会社が営業や保安業務に専念し、
配送業務を専門会社へ委託するケースが増えています。
社名が入った車両であっても、配送業務は別会社が担当していることも珍しくありません。
そのため、安全運転対策を考える際も、
販売会社と配送会社、それぞれの立場に合わせた運用が必要になります。
④ 若いドライバーも多く、安全教育への意識が高い
LPガスは可燃性の高いエネルギーであり、安全管理が最優先となる業界です。
そのため、定期的な安全教育や保安教育を実施している会社が多く、
安全への意識は非常に高いと感じます。
一方で、若手ドライバーへの運転指導や教育方法について
課題を感じている管理者も少なくありません。
⑤ 住宅街での作業が多く、バック事故が起こりやすい
LPガス配送では住宅街や狭い道路を走ることが多く、
袋小路やUターンできない場所へ進入することもあります。
そのため、バック時の接触事故は多くの会社で共通する課題です。
電柱やブロック塀、カーポートなどとの接触は、
重大事故ではなくても修理費用や業務への影響が大きく、
安全運転教育の重要なテーマとなっています。
車両管理は「事故防止」だけが目的ではない
近年、車両管理に求められる役割は大きく広がっています。
単に事故を減らすだけでなく、
- 配送効率の向上
- ドライバー教育
- 車両稼働状況の把握
- 業務品質の向上
- 地域からの信頼維持
など、企業全体の経営にも関わる重要な取り組みとなっています。
車両管理システムやドライブレコーダーも、「導入すること」が目的ではありません。
収集した情報を日々の運用や教育に活かし、継続的に改善していくことが、
本当の価値につながります。
クラウド型の運行管理システムの活用
LPガス会社の車両管理では、多くの車両・多くの訪問先を抱えるからこそ、
手作業による運転日報の管理には限界があります。
書き忘れ、記入ミス、日報の回収・集計業務など、
現場と管理部門の双方に負担がかかっているケースも少なくありません。
現在はクラウド型の運行管理システムを活用することで、
これらの業務を大きく効率化できます。
クラウド型AIドライブレコーダー ▶
AIが危険挙動を自動検知し、運転日報の作成から事故映像の確認までクラウド上で完結。安全運転指導にそのまま活用できます。
初期費用無料ドライブレコーダー ▶
初期費用0円・月額制で導入できるドライブレコーダー。台数が多い車両でもコストを抑えて始められます。
これらを採用することによって
- 運転日報の記入→自動化。運転時間、走行距離、経路などを正確に記録
- バック時のヒヤリハット・接触事故の記録・検証
- 集計業務→不要
- 関係部署に回覧→担当者がクラウドに直接アクセスするので不要
になります。
導入や維持に費用は発生しますが、
安全教育や業務効率化に大きな効果があります。
まとめ
LPガス会社の車両管理は、一般的な営業車や運送会社とは異なる特徴があります。
季節変動への対応、多数の訪問先、安全教育、住宅街での運転など、
業界ならではの課題を理解した上で車両管理を行うことが、
安全運転や業務効率化につながります。

著者プロフィール
2005年より法人向けデジタルタコグラフ・ドライブレコーダー・AIドラレコの導入支援を開始。
これまで20年以上にわたり、運送会社、LPガス会社、自治体、スクールバス事業者など、多くの現場で車両管理と安全運転対策を支援。
現場経験をもとに、当サイトでは「業界ごとの車両管理」をテーマに情報発信を行っている。
