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新入社員が配属されたら注意すべき、交通安全指導について解説

研修期間が終了し、新入社員が各部署に配属される時期となりました。
営業職などでは、新入社員が社用車を運転することもあるでしょう。新人にいきなり運転させることに不安を感じる企業担当者も多いのではないでしょうか。

最近では若者のクルマ離れが進み、ペーパードライバーも増加していると言われています。
新入社員が万が一交通事故を起こしてしまうと、会社の信頼を大きく失うことにもなりかねません。

今回の記事では、新入社員が配属されたら注意すべき交通安全指導について、交通安全教育の必要性や新入社員の運転事情、実際の指導で押さえるべきポイントなどを解説します。

 

新入社員への交通安全教育の必要性について

まず、なぜ新入社員に交通安全教育をする必要があるのでしょうか?
他の社員より新入社員への交通安全教育に力を入れるべき理由として、以下の3つが挙げられます。

新入社員は運転に不慣れ

普通自動車の運転免許は18歳から取得可能ですが、新入社員は年齢がそもそも若いため、他の社員と比べると運転経験はどうしても浅くなってしまいます。
都市部など公共交通が発達しているエリアでは、車よりも電車や地下鉄で移動する方が便利なので、車をあまり運転しない若者が多いと考えられるでしょう。

また、入社してから初めて本格的に車を運転したという人も多いのが現状です。
免許を取得してから日が浅いことに加え、車を運転する機会が少なく、ほとんどの新入社員が運転に不慣れなことが交通事故を起こしやすい最大の原因といえます。

ペーパードライバーが多い

学生時代に、本人確認書類のためや時間があるから、という理由で免許を取得する方も多いでしょう。
必要に迫られて取得したわけではないので、機会がなければ全く運転せず、ペーパードライバーのまま就職してしまうことも多々あります。
通学などで日常的に車を利用していたり、自家用車を所有していない限り、学生が運転する機会はかなり限られています。そのため、新入社員には圧倒的にペーパードライバーが多い傾向があります。
そもそも運転経験がないことも、新入社員の事故が多い原因の1つです。

不安や緊張を抱え、余裕を持って運転できない

新入社員は慣れない環境で不安や緊張を抱えています。「知らない道を迷わず運転できるだろうか?」「指定時刻までに取引先へ到着できるだろうか?」そんな心配を抱えてハンドルを握る社員が大半だと考えられます。
適度な緊張はベストなパフォーマンスにつながることもありますが、過度な緊張はミスを誘発してしまいます。
年齢が上がれば心の余裕も出てきますが、新入社員はまだその余裕を持って運転できる状況ではありません。
曲がる交差点を通り過ぎてしまったなどの小さなミスで、不安や緊張がさらに高まり、周りが見えなくなってしまった結果、安全確認を怠り大きな事故につながる可能性もあります。

また、運転への不安に加え、訪問先で上手く仕事を行えるか、という業務自体に関する不安を抱えている可能性もあります。
新入社員は、運転面と仕事面の両面で不安と緊張を抱えているため、メンタルの不安定さから注意散漫になり、事故を起こしやすいのです。
 

新入社員世代の運転事情

では、新入社員世代である10代後半や20代前半では、実際に乗用車をどのように利用しているのでしょうか?
若者の運転事情と事故率についての関係についても解説します。

若い世代の車離れが進んでいる

近年、「若者の車離れ」という言葉をよく耳にするようになりました。少し自身のことを振り返りますと、筆者(50代男性)が自動車の運転免許を取得したのは18歳の頃です。免許取得と同時に中古の車を購入し運転していました。
自動車学校には同世代も多く、友人など周囲の人間も同様に高校卒業と同時に免許を取り、車を買い、毎日運転を楽しんでいた様子です。
当時は運転するのが楽しく、意味も無く車を運転したり、用もないのに出かけていたりしたのも今ではよい思い出です。これは、当時の若者の典型例と言えるでしょう。

一方、筆者の娘(20代)は、車の運転には全く興味や関心を持たずに学生生活を過ごしました。10代後半や20代前半の新入社員世代では、車への関心を持つのは全体の3割程度と言われています。
就職内定後、内定した企業より「営業職への配属のため、大学在学中に運転免許を取得」するよう指示を受け、4年生の段階でようやく自動車学校に通い始めました。
免許は取得しましたが、自身の車を持つことなく東京へ。入社後も運転する機会がほとんどないため、「今度、ペーパードライバー講習に通う」と話していました。
また、筆者の息子(10代)は、運転免許取得に意欲を持っているものの、東京の生活では自動車の運転がほとんど必要がないと感じていると言います。

以上は筆者の身近な事例ですが、このように最近の若者にとって自動車の運転は必須ではないことがわかります。

10年前の企業の採用では、「免許を取得している」=「運転ができる」という認識で問題がなかったのですが、運転経験が浅く、運転ができない、安全運転への意識が低い方も多い新入社員が大半を占めるのが現状です。
そのため、新入社員に対して「事故違反を起こさないように」と、注意を投げかけるだけでは効果が薄く、丁寧な指導と管理・監督がなくては安全運転と事故防止を実現させるのは難しいでしょう。

新入社員世代で事故率が高い傾向に

車の運転をする機会が減り、車の運転に不慣れな若者が多いことに関連するように、実際のデータでも、若者世代は他の年代と比較して事故率が高い傾向にあります。

警察庁の「交通事故の発生状況」より、「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たりの交通事故件数」を見てみると、2018年のデータでは免許所有者10万人当たりの事故件数は16~19歳が1489.2件と群を抜いて多く、20~24歳の876.9件、85歳以上の645.9件と続きます。

メディアでは高齢者の運転事故が多く報道され問題になっていますが、実際は高齢者が起こす事故件数は若者よりも低く、16~24歳の新入社員を含む世代は、運転に不慣れで事故を起こす可能性が非常に高いことがわかります。

▼参考
警察庁「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移 」
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003281511
 

新入社員が運転時に注意すべきポイントとは

さらに、警察庁の「交通事故の発生状況」より、「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別・年齢層別交通事故件数 」新入社員世代の10代、20代のドライバーによる主な事故状況を見てみると、「安全不確認」や「わき見運転」、「動静不注視」の件数が多くなっています。

「安全不確認」とは、前後左右の確認を怠ること。右折時に左側の歩行者に気を取られ、右折先の歩行者に気づかずに接触してしまった事故などが当てはまります。

「脇見運転」はその名の通り、何かに気を取られ、前方から目をそらしてしまうことです。
風景や看板に気を取られることに加え、ダッシュボードの物を取ろうとしたり、カーナビ操作のために視線をそらしてしまうことも、わき見運転の原因となります。

「動静不注視」とは、歩行者や車を事前に認識していたにもかかわらず、危険はないと判断して相手の動静に注意を払わないこと。「かもしれない運転」や「だろう運転」ができていないことが原因です。

データから、若年ドライバーの約8割が安全運転の義務に違反して事故を起こしていることもわかります。
いずれも落ち着いて周りを見ていれば防ぐことができた事故ですが、経験が浅い若年ドライバーは危険を知らず、安全確認の対象や方法が分かっていない状態であると推測されます。

これらの現状を踏まえ、新入社員が運転時に注意すべき主なポイントを以下にまとめました。

・速度の出し過ぎに注意。特に、高速道路の速度超過や、狭い道での速度に配慮する。
・駐車違反は交通規則に違反する行為。車の所有者である会社に通知が行く場合もあるため注意が必要。
・ 携帯電話を見ながらの運転は禁止。業務連絡だからといって、運転中まで対応する必要はない。ハンズフリー通話も注意力が散漫になるため控えるのが無難。
・疲れが注意力の低下につながるため、長時間運転は避けること。1時間運転したら10分程度の休憩が目安。
・居眠り運転防止のために適度な休息を。運転中に万が一眠気を感じることがあれば、路肩に停車するか、パーキングに駐車するなどして無理せず休憩を。
・深夜、早朝の運転を避けること。事故は深夜が多いことが判明し、夜の営業活動を減らした大手ハウスメーカーの実例も。
・酒気帯び運転は厳禁。飲酒直後の運転はもってのほか。飲酒後に「風呂に入ればいい」「寝ればOK」という解釈もあるがもちろんNG。アルコール分が抜ける時間は、体質などにより人それぞれだが、少なくとも飲酒後8時間は時間を空けて運転を。
・荷物を積み過ぎないように配慮を。ブレーキが効きにくい、横転しやすいなど、事故の要因につながることも。特に営業職の場合、カタログや商品サンプルなど荷物が多くなりがちだが、定期的に点検し不必要なものは降ろす。車が軽くなると燃費にも好影響。

▼参考
警視庁「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別・年齢層別交通事故件数 」
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003281515

 

企業の現場での交通安全指導

実際に新入社員へ安全運転指導をする場合には、危険を知り安全確認の対象や方法を覚え、その通りに正しく実践できるよう指導することが重要です。
企業の現場での交通安全指導には、以下の5つのポイントを押さえて行いましょう。

ポイント1:安全確認のポイントを知ってもらう

まず、死角の多い曲がり角や信号のない交差点など、事故が発生しやすい箇所での安全確認について指導することが大切です。
「歩行者も車も来ないからそのまま進もう」と、判断してしまうと大きな事故につながるリスクがあるため、さまざまな交通場面で安全確認が必要な箇所を経験談を交えて伝えます。
まずは、自社でよく走行するエリアを事例に学習し、さらにそれらの箇所で実際に発生した「ヒヤリハット」を共有すれば、危険を予知した安全運転ができるでしょう。運転が不慣れでも安全確認や危険予測が重要であると伝えていくことが大切です。
そのために、ツールを利用することも有効です。社用車にドライブレコーダーを設置し、交通標識と自身の運転操作が一致しているか確認したり、運転診断レポート機能で運転傾向を分析すれば、元に1人ひとりに合わせた安全指導をすることができます。

ポイント2:運転に集中できる環境づくりを

一瞬のわき見でも大きな事故につながる可能性があるので、運転に集中できるよう、カーナビやスマホの操作は車を停めてから行うように指導します。
運転中に携帯電話が鳴ると、どうしても注意がそれてしまいます。ながら運転は道路交通法違反になるため、運転中はドライブモードに設定してカバンなどに入れ、運転に集中できる環境を作るよう教えましょう。
業務になれないうちは、移動ルートの確認や業務進捗状況の報告、訪問先ごとの連絡事項の確認など、社用車を使用すること自体に負荷を感じる新入社員も多いでしょう。
業務負荷を減らすために、目的地まで的確に案内するカーナビや、簡単に業務進捗を報告できるツールを導入することも安全運転の実践に効果的です。

ポイント3:安全確認は目視だけでなく声に出して

運転経験が浅いドライバーにとって、目視での確認に加え、声出し確認をすることは非常に有効です。
安全確認すべき対象をはっきり意識することができ、確認したつもりになったり、見落としたりすることを防ぐことができます。
「対向車は来ていないか」「周囲に歩行者がいないか」目で見てしっかり確認したら、「対向車よし」「歩行者よし」と声を出して確認するよう指導しましょう。

ポイント4:に余裕を持ってスケジュールを立てる

運転に不慣れな場合、運転経路を把握できておらず道に迷ったり、渋滞予測ができておらず想定外に時間がかかってしまうこともあります。
指定時刻までに到着できないと焦ると、安全不確認を誘発したり、ハンドル誤操作で事故を起こす危険性が高まります。
出発前にはしっかりとルートを確認し、時間に余裕を持った移動スケジュールを立て、早めに出発するように教えることもポイントです。

ポイント5:周囲から見られている意識を持つ

会社から離れ1人で運転していると、つい気持ちがゆるむことがあるかもしれません。しかし、社用車に乗ることは、どの会社の人間かを周囲に知らせていることになります。
危険運転や運転マナー違反は企業イメージを低下させてしまいますし、業務中の自動車事故は、会社に大きな損害を与え、社会的な責任を問われます。
逆に、交通ルールを守り、安全運転を心がけることは会社のイメージアップにもつながります。企業ドライバーとしての自覚と責任感を持つように意識づけることが大切です。
そのために、位置情報をリアルタイムに把握でき、走行データを自動記録できるタイプのドライブレコーダーなど、管理者が社有車の業務状況を確認できるシステムを導入することも有効です。ドラレコ設置が一定の緊張感を保つ効果も期待できます。
実際に、筆者の会社の取引先には、新入社員が乗る車だけドライブレコーダーを装着する企業があります。

例えば、大手製薬会社では、新人MR全員の車にドライブレコーダーを取り付け、配属先に納車し、1年間事故がなければドライブレコーダーの装着を免除しています。また、大手ハウスメーカーでも、同様に新人の車にはドライブレコーダーの装着を義務付けています。
これらの企業では、毎年新入社員を100人以上採用しています。これまでに、新入社員の事故で痛い目に遭った経験から、この様な対応をしているのでしょう。

以上のポイントを指導した上で、運転前には必ず不安なことがないかヒアリングし、アドバイスできることがあれば、運転前に教えてあげると不安解消につながります。可能であれば新入社員が運転に慣れるまでは同乗しましょう。
 

まとめ

  • 新入社員は運転に不慣れで運転経験も乏しい者が多いため、交通安全教育が必要
  • 若い世代の車離れが進んでおり、新入社員世代の事故率は高い傾向に
  • 新入社員は特に運転時に、速度超過や駐車違反をしない、長時間運転を控えるなどをより心がけるべき
  • 安全運転指導をする際には、安全確認が必要な箇所を知らせ、運転に集中できる環境をつくるなどのポイントを押さえることが重要

(執筆者:酒井 恭子)

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