プロパンガス会社の車両管理を考える 第4回|ドライブレコーダーは新人教育に役立つ?データが安全運転文化を変えた事例
2026/08/05
はじめに
AIドライブレコーダーやデジタルタコグラフについて説明すると、
「運転を監視される機械ですよね?」
という質問をいただくことがあります。

確かに、速度超過や急ブレーキなどの運転データを記録するため、
そのような印象を持たれる方も少なくありません。
しかし、私たちが20年以上にわたりLPガス会社や運送会社の現場で見てきたのは、
まったく違う姿でした。
データを上手に活用した会社では、
「監視」ではなく「安全運転を支える仕組み」として受け入れられ、
会社全体の安全文化が育っていったのです。
今回は、実際にあった運送会社での事例をご紹介します。
ドライブレコーダーを導入しただけでは何も変わらない
ドライブレコーダーやデジタルタコグラフを導入すると、
- 速度超過
- 急ブレーキ
- 急加速
- 急ハンドル
など、さまざまな運転データが記録されます。
しかし、機械を導入しただけでは安全運転は定着しません。
管理者だけがデータを見る。事故が起きたときだけ映像を確認する。
そのような運用では、現場の意識は変わらないからです。
本当に重要なのは、ドライバー自身がデータを確認し、
自分の運転を振り返ることです。
評価点数がドライバーの意識を変えた
ある運送会社では、運転日報に表示される評価点数を
ドライバー自身が毎日確認していました。
最初は管理者のための資料だった点数が、
いつの間にかドライバー同士の話題になっていったのです。
「今日は96点だった。」
「昨日は98点だった。」
「今月は95点を超えたい。」
そんな会話が自然に生まれるようになりました。
会社から競争を指示したわけではありません。
ドライバー自身が、自分の運転をより良くしたいと考え始めたのです。
90点を超える世界はとてもシビア
90点を超えると、大きな違反や危険運転はほとんどありません。
それでも点数には差が出ます。
例えば、
「あの道で65km/hまで速度が出てしまった。」
「あの交差点でブレーキが少し強かった。」
「もう少し早くアクセルを戻せば良かった。」
そんな細かな運転まで意識するようになります。
管理者に注意されるからではありません。
自分自身でもっと良い運転をしたい。
その気持ちが、安全運転につながっていました。
良い運転が会社全体へ広がっていった
その後、変化はドライバー個人だけでは終わりませんでした。
今度は営業所ごとの平均点を比べるようになったのです。
「今月は○○営業所が一番だった。」
「次はうちも負けないように頑張ろう。」
こうした前向きな競争が自然に生まれ、
会社全体の運転評価も少しずつ向上していきました。
誰かに管理されるのではなく、
仲間同士が良い運転を認め合う文化が育っていったのです。
成功した理由は機械ではなく「仕組み」
この会社が成功した理由は、
最新のドライブレコーダーを導入したからではありません。
高価なシステムだったからでもありません。
運転データをオープンにし、ドライバー自身が確認できる仕組みを作ったこと。
そして、そのデータを「叱るため」ではなく、
「良い運転を認めるため」に使ったこと。
それが、安全運転文化を育てるきっかけになりました。
データは、人を管理するためではなく、人を成長させるために使う。
その考え方が会社全体に広がっていったのです。
私には今でも忘れられない出来事があります。
デジタルタコグラフやドライブレコーダーを導入し始めた頃、
現場のドライバーさんからは決して歓迎されませんでした。
「こんなもの付けてどうするんだ!」
「ずっと監視されるじゃないか!」
導入説明に伺うたびに、厳しい言葉をいただくこともありました。
実際に、大声で怒鳴られたことも一度や二度ではありません。
それまでドライバーさんは、充填所を出発すれば、
自分の経験と判断で仕事を進めていました。
そこへ運転を記録する機械が取り付けられるのですから、
「監視される」と感じるのも無理はありません。
仕事が息苦しくなったと感じた方も多かったと思います。
しかし、時間が経つにつれて少しずつ変化が起きました。
ドライバーさん自身がデータを見るようになり、
運転日報を活用するようになると、考え方が変わっていったのです。
「これは監視じゃない。」
「自分たちの仕事を正確に記録してくれるものなんだ。」
そんな声を聞く機会が増えていきました。
事故やトラブルが発生したときも、「誰が悪いか」を探すためではなく、
「実際に何が起きたのか」を客観的に確認できるようになり、
ドライバーさんにとっても安心材料になっていきました。
この変化を目の当たりにしたとき、私は本当にうれしかったことを今でも覚えています。
技術が会社を変えたのではありません。
技術をどう受け入れ、どう活用するかという文化が変わったことで、
安全運転への取り組みも大きく変わっていったのです。
クラウド型運行管理システムの活用
クラウド型運行管理システムでは、
運転評価や危険運転のデータをリアルタイムで確認できます。
重要なのは、管理者だけがデータを見ることではありません。
ドライバー自身が結果を確認し、仲間と共有し、改善につなげることです。
データは監視のためではなく、安全運転文化を育てるために活用する。
その考え方が、会社全体の安全レベル向上につながります。
クラウド型AIドライブレコーダー ▶
運転評価をドライバー自身がその場で確認可能。「監視」ではなく「成長のためのデータ」として、安全運転文化づくりに活用できます。
初期費用無料ドライブレコーダー ▶
初期費用0円・月額制で導入できるドライブレコーダー。複数営業所の運転評価もまとめて比較・共有できます。
まとめ
安全運転は、AIやドライブレコーダーだけで実現できるものではありません。
大切なのは、そのデータをどのように活用し、
人が自ら成長できる環境を作るかです。
今回ご紹介した会社では、運転評価をオープンにすることで、
ドライバー同士が自然と学び合い、安全運転を目指す文化が生まれました。
その積み重ねが、会社全体の安全意識を高める大きな力になっていったのです。

安全運転に変わると事故だけではない。会社全体に広がった5つの効果
安全運転の取り組みは、事故件数を減らすだけでは終わりません。
実際に車両管理担当者へ話を伺うと、
- タイヤやブレーキが長持ちするようになった
- エンジンへの負担が減り、車両の寿命が延びた
- あおり運転と誤解される場面が少なくなった
- ドライバーに気持ちの余裕が生まれた
- 会社全体の雰囲気まで良くなった
といった、さまざまな変化があったそうです。次回は、安全運転が会社にもたらした”目に見える効果”について、実際の現場の声を交えながらご紹介します。
著者プロフィール
2005年より法人向けデジタルタコグラフ・ドライブレコーダー・AIドラレコの導入支援を開始。
これまで20年以上にわたり、運送会社、LPガス会社、自治体、スクールバス事業者など、多くの現場で車両管理と安全運転対策を支援。
現場経験をもとに、当サイトでは「業界ごとの車両管理」をテーマに情報発信を行っている。
