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【公用車管理を考えるシリーズ・第7回/全7回(完結編)】管理を”プロに任せる”という選択 車検切れをなくす仕組み

2026/08/24

更新日:2026年9月8日

業務用ドラレコの活用

最初に

このシリーズでは、公用車の管理制度の違いから始まり、
委託運行の課題、不適切利用の背景、規程と実態のギャップ、
そして免許確認やカギ管理の仕組み化について考えてきました。
最終回となる今回は、「車検切れの車両を使用していた」というケースを入り口に、
車両管理そのものを専門の企業に委ねるという選択肢を取り上げ、
これまでの内容を振り返りながらシリーズを締めくくります。

なぜ車検切れに気づけないのか

以前の回でも触れた通り、車検切れの車両が業務で使用され続けていたという事例は、
これまでにも報告されています。
背景にあるのは、多くの自治体が数十台から数百台という単位で公用車を保有しており、
一台ごとの車検・点検の期日を、担当職員が個別に把握し続けることの難しさです。

車両台数が多くなるほど、期日管理は本来「システム」で行うべき業務になっていきますが、
実際には、各部署の担当者が個別に業者へ発注し、
紙やエクセルでスケジュールを管理しているケースも少なくありません。
このやり方自体が悪いわけではありませんが、
担当者の異動や多忙が重なったときに、抜け漏れが生じやすい構造だと言えます。

車両管理を専門企業に委ねるという選択

この課題に対して、近年進んでいるのが、
車両の維持管理業務そのものを、リース会社などの専門企業にアウトソーシングするという取り組みです。

ある自治体では、従来は各部署の担当者が個別に市内事業者へ発注していた車検やタイヤ交換などの業務を、
一括して外部委託する仕組みに切り替えました。
その結果、各部署が発行していた支払伝票の数は、年間400枚から12枚まで減り、
車両管理にまつわる職員の業務時間は年間で約1,000時間削減されたと報告されています。

別の事例では、法定点検や継続車検の期日管理、自賠責保険の更新手続き、
整備工場との折衝といった業務を専門企業に委託した結果、
職員は車両の保守・点検にまつわるほとんどの業務から解放されたとされています。
さらに、管理を委託した車両についても、Webシステム上でいつでも管理状況を確認できるようになったことで、
「委託したから見えなくなる」のではなく、「委託しても見える状態を保てる」という体制が実現しています。

「任せる」と「見える」は両立できる

ここには、このシリーズを通じて繰り返し触れてきたテーマと同じ構造があります。
車両管理の実務そのものは、専門知識を持つ企業に任せたほうが、
確実性も効率も高まります。
しかし、それは「自治体側が何も把握しなくてよい」ということではありません。

大切なのは、実務は専門家に委ねながらも、
その結果や状況を、自治体側が客観的なデータとして随時確認できる状態を保つことです。
これは、第3回で取り上げた「委託先と自治体が同じデータを見る」という考え方や、
第6回で取り上げた「自己申告に頼らない記録の仕組み化」とも、根っこの部分でつながっています。

クラウド型AIドライブレコーダー ▶

車両の維持管理を専門企業に委ねつつ、日々の運行状況は自治体側でも客観的なデータで確認できる体制づくりを支えます。

無事故プログラム ▶

車両ごとのデータを継続的に蓄積し、車検・点検・運転挙動にかかわる見落としに早く気づける仕組みです。

シリーズを振り返って

全7回を通じて見えてきたのは、公用車の管理をめぐる問題の多くが、
「職員の意識が低いから」でも「悪意があるから」でもなく、
車両の種類・法制度・委託構造・記録の方法といった、
仕組みそのものに起因しているという点でした。

– 公用車は乗用車・ごみ収集車・バスなどで管理制度が異なる(第1回)
– 委託運行では、報告だけに頼らない体制が必要(第2回・第3回)
– 不適切利用の多くは、悪意より見落としから生まれる(第4回)
– 規程は明確でも、それを裏付ける客観的な記録は不足しがち(第5回)
– 免許確認やカギ管理は、自己申告ではなく仕組みで防ぐべき(第6回)
– 車両管理そのものを専門企業に委ね、かつ状況を見える化することもできる(第7回)

これらに共通するのは、「注意しましょう」という呼びかけだけに頼るのではなく、
客観的なデータと、適切な役割分担によって、
無理のない管理体制を作っていくという発想です。
このシリーズが、公用車の管理体制を見直すきっかけの一つになれば幸いです。

連載記事一覧

第1回 公用車は一枚岩ではない 乗用車・ごみ収集車・バスで異なる管理のルール https://enabattery.co.jp/useful/1949/(8月10日(月)配信)
第2回 ”報告を受ける”だけの管理でよいのか スクールバス事故が投げかけた問い https://enabattery.co.jp/useful/1951/(8月12日(水)配信)
第3回 ”言った・言わない”をなくす 公用車管理に客観性を持たせる方法 https://enabattery.co.jp/useful/1944/(8月14日(金)配信)
第4回 ”たまたま気づけた”では済まされない 公用車の不適切利用はなぜ見過ごされるのか https://enabattery.co.jp/useful/1954/(8月17日(月)配信)
第5回 ルールはあるのに、証明する手段がない 自治体の公用車規程を読み解く https://enabattery.co.jp/useful/1956/(8月19日(水)配信)
第6回 自己申告に頼らない 運転免許確認とカギ管理の仕組み化 https://enabattery.co.jp/useful/1958/(8月21日(金)配信)
第7回(完結編) 管理を”プロに任せる”という選択 車検切れをなくす仕組み(8月24日(月)配信)

著者プロフィール

山口 功司(やまぐち こうじ)
恵那バッテリー電装株式会社代表取締役
1970年生まれ。岐阜県出身 愛知工業大学工学部卒業。株式会社カナデンを退職後、家業である同社に入社。
2000年前後の黎明期からドライブレコーダー市場を見続け、2007年より法人向け販売を開始。これまでの取り付け実績は数万台。2009年からは「無事故プログラム」の全国展開に携わり、現在は同事業が売上の4割を占めるまでに成長した。北海道から沖縄まで、全国どこでも対応する取付体制を自ら築いてきた。

恵那バッテリーでは、
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